第6回Googleデベロッパー交流会(Android SDK)参加レポート

遅ればせながら、先日行われたGoogleデベロッパー交流会の詳細レポートをお届けいたします。

長いエントリになるので、気合を入れてお読みくださいませ。

まずはじめに六本木ヒルズの森ビルの2FにあるiGoogleCafeの宣伝があり、
Googleのジェイソン・チェン氏より以下の説明が行われました。(英語)
※非常に精度が高く、素晴らしい同時通訳がありました。

  • OHAの概要説明
  • Androidの概要説明
  • Androidとは何か
  • Androidはどうやって動作しているか
    • ブロック図の解説
    • グラフィックサブシステム
    • オープン性について
      • モバイル業界にとってのオープン
        • Apache2.0のライセンス。近いうちにDalvik、SGL、libc等、すべてソースをオープンにする。
      • 開発者にとってのオープン
        • 自由にアプリケーションを開発できる。自由に開発できるようにして、Webのオープン性を携帯業界にも持ち込みたい。
      • ユーザーにとってのオープン
        • インストールするアプリに制限はない。
        • 事業者から制限することはない。
        • デフォルトのアプリをコントロールできる。
    • Androidの歴史
    • Developper Challenge
      • 日本からの投稿が特に多い。
      • 端末発売後に2回目のチャレンジがあるので、是非投稿して欲しい。
    • フィードバック、ください。
      • いまはアーリールックの状態だけどリリースのための準備を着々と進めている。
      • ここにバグ、要望等を送って欲しい→issue tracker
      • android dash developper groupが開発者向けなので是非参加して欲しい。


ここで基調講演が終わり、質疑応答に入りました。



  • 質疑応答
    • Dalvikはインタプリタで動いているがパフォーマンスが悪いのではないか?
    • ジェイソンさん
      • そのとおりです。jitも検討していましたが他に重要なことがあったので後回しにしました。1.0をリリースした後にjitをリリースする予定があります。
    • Dalvikはレジスタベースのアーキテクチャだが、サポートするレジスタの数は?また、レジスタベースにすることによってパフォーマンスはどれだけあがったのか?
    • ジェイソンさん
      • VM担当ではないのでパフォーマンスがどれだけ向上したかについては、あまり詳しくありません。DalvikはCでインプリしました。アセンブリで特定のチップ向けのカスタマイズをしています。
    • IMEまわりの実装は将来フレームワーク側で実装するのか?
    • ジェイソンさん
      • フレームワークはいくつものIMEを載せられるように準備しています。IMEを提供する予定もあります。ベンダー側でもIMEを変更可能にする予定です。
    • OHA加入した事業者から出るデバイスはユーザーのアプリインストールは日本の事業者から出ても制限がないのか?
    • ジェイソンさん
      • KDDIDoCoMoがアライアンスに参加したということはオープン性の精神に合意したということなので、基本的にはそうなるはずです。
      • (※編集注:オープンになると断定的には言えないようで、ちょっと苦しそうでした。)
    • 悪意のあるアプリに対するガード機能はあるか?
    • ジェイソン
      • セキュリティをかけてあるので他のアプリに干渉して壊すことはありません。
      • 社内のセキュリティレビューによって悪意のあるアプリをガードするようにする常に努力しています。
    • ソースコードが全てオープンになるのはいつですか?(編集注:私が聞きました。)
    • ジェイソン
      • 最初の携帯端末が出るまでオープンにするのは控えます。端末が出てからオープンになります。
      • (編集注:出ると同時にオープンというわけではなさそうです。)
    • SIPを使いたいけどp2pは使えるの?
    • ジェイソン
      • Gtalkを使うか自分のライブラリを使うことでできるはずです。Gtalkでほとんどのことがサポートされているはずです。


ここで一旦休憩に入りました。



  • パネルディスカッション

iPhoneユーザーが検索する数は通常ユーザーの20倍の差があり、iPhoneが出てから携帯ユーザーががらりと変わってきた」という前振りがありました。

そして早押しクイズみたいなボタンを各パネリスト席に用意。
「他のパネリストの話に割ってはいる時に押してください」とのこと。
(※編集注:ほんとに速押しクイズのような音が鳴りましたが、結局一度も押されることはありませんでした。)



ここで、パネリストの人たちが作ってきたサンプルアプリを順番に披露。


  • 鄭隆幸さん(Google)
    • 単語帳アプリ
      • 入力した単語を英辞郎で検索して表示し、ローカルにキャッシュするアプリ。
      • サンプルアプリのノートパッドを変更すれば30分から1時間で作成可能。
    • Dab simple test(IME)
      • Google suggestを使って漢字変換を行っていた。IMEのエンジンを開発中とのこと。通信を行っているとは思えない速さで変換できていました。
  • 若狭建さん(Google)
    • WebViewを貼ったアプリ
      • Google App EngineでBBSのサイトを構築していました。
      • 位置情報つきのBBSで、MapViewを使って表示を行うもので、JavaScriptからMapViewをコールしているとのこと。
      • DoCoMo携帯から位置情報つきでメッセージを投稿することができるようになっていました。
      • (※編集注:URLが一部見えたので後ろにappsopt.comをくっつければいけるかなと思って入力したら表示されたので、解説中にメッセージを書き込もうとしましたが、ぎりぎり間に合わず。でも名前を「ブリリアント」、コメントを「ぼちぼちでんなあ」で書き込んでおきましたよ。)
  • 安生真さん(Cave)
    • death smiles tmp
      • 横スクロールシューティングゲーム。製作期間はおよそ3日。(編集注:速っ!)
      • 市販品とも言っていいほどの完成度でした。
      • ソフトバンクJAVAアプリは移植しやすく、DoCoMoのDOJAのアプリは移植しにくいそうです。
  • 丸山不二夫さん(早稲田大学客員教授)
    • クライアント間通信アプリ
      • 友人の今村さんが作ったアプリ。
      • ザウルスにAndroid移植したものを1台用意して、無線LANエミュレータ上のAndroidとチャットを行っていました。
      • 店に近づいたらブルブルさせたりとかさせたいとのこと。
      • iPhoneとは違うところを見出したかったそうです。
  • 西島栄太郎さん(エイタロウソフト)
    • 仮想空間でコミュニケーションするアプリ。
      • アバターを使ったチャットができ、3D描画がサクサク動いていました。
      • 他のプラットフォームのものを1ヶ月くらいでAndroidに移植したそうです。
      • 全て3Dにすると重いので、一旦3D描画させたものを2Dで取っておいて2Dで表示しているとのこと。
      • DoCoMoアプリ版を持って秋葉原に待機してもらっている人とチャットしたりしていました。
      • とにかく完成度はかなりすごかったです。
      • ただ、日本語の表示はできていましたが、入力はできていませんでした。
  • Androidアプリ開発の苦労話/Tips
    • 安生さん
      • エミュレータが重いので3Dはあきらめて2Dにしました。
      • ジェイソン
          • エミュレータのパフォーマンス向上については遅いことは把握しているので頑張っています。
          • 今は端末全部をCPUからエミュレートしているので重いんです。
    • 今村さん
      • マルチスレッドのアプリ開発が大変だけどなんとかならないか。
      • ジェイソン
          • すべてのアプリをフレームワークで管理しているので、ちょっと窮屈になっています。
          • 気持ちはわかりますが、ユーザーの利便性のためにそういう設計になっているので勘弁して欲しいところです。
    • 若狭さん


ここで2回目の質疑応答



  • Android向けGoogleGearsはでるのか?
  • ジェイソン
    • 検討しているが詳しいことは言えません。Safari向けのGoogleGearsがでれば実質的にAndroidも対応することにはなると思います。
  • 今の段階でソースコードを入手するにはOHAに加入すればいいか?(※編集注;私が聞きました。)
  • 営業の人
    • 参加していればソースコードを提供することは可能です。現段階でOHAの参加メンバーは固定というわけではないですが、参加希望に応じれるような体制が整っていないためうんたらかんたら
      • (※編集注:現段階ではよほどのコネがないと中小企業の加入は難しそうです。)


そして最後にGoogle Developper Dayの宣伝をして、終わりになりました。

その後各所で名刺交換合戦が繰り広げられることに。


その中で、ジェイソンさんと少しお話をしました。
私:ソースコードが公開されたら、linux以外にも、いろんなプラットフォームに移植されると思いますが、その後の展開は何か考えていますか?
ジェイソン:今はヴァージョン1.0をリリースすることしか頭にありません。
※編集注:どういう戦略を持っているかは言えないようでした。


私:Androidは携帯以外にも十分に応用が利くと思いますが、そのあたりの展開は考えていますか?
ジェイソン:今はモバイル端末をリリースすることしか考えていません。
※編集注:せめてカーナビとかは答えてくれるかと思ったんですが、現段階では軽々しく言えないようです。


そしてこの後、第一回(?)Androidオフ会が開催されたのでした。

オフ会のレポートはまた後でまとめます。

それでは。